前回の記事でシナリオのコアメソッドが決まりました。
今回は、そのコアメソッドからシナリオを実際にパーツに分けていきます。
今回も「遊園地でアイドルのライブを見に行く」をテーマに、
シナリオのパーツのわけかたについて説明していきます。
なぜシナリオをここでパーツに分けるのかというと、
パーツ単位で考えたほうが楽だからです。
ただし、今回も6つのタイプ全てのパーツのわけかたを説明する都合上、
個別のパーツのわけかたについては説明できません。
あしからずご了承ください。
では、これよりシナリオをパーツに分けていきます。
1型のパーツの分け方は、PCの実際の行動のリストになります。
例のパターンなら、アイドルを助けるために何をすればいいのかです。
例えば、このような感じになります。
- アイドルの居場所(=敵の隠れ場所)を探す
- 隠れ場所に突入する
- 誘拐犯を倒しながらアイドルのいる部屋に行く
- アイドルのいる場所にいる敵ボスを倒す
- アイドルを救出する
これら1つの作業を、それぞれ「1シーン」と呼びます。
1シーンごとにどうすれば作業が完了するのかが大体決まっており、
それを通してシナリオをパーツに分けていくわけです。
2型の場合、実際の時間の流れになります。
具体的には、これらの3点を考えます。
- 事件が実際に起こる前に、PCはどれだけの手がかりを入手出来ているべきか
- それを集めるのに必要な時間は、通常どのくらいか
- タイムロスはどのくらい許容するか
例として、アイドルをさらう人がいつ犯行に及ぶのかは、
PCがどういう動きをしてどういう状態になることを想定しているのかを
数パターン考えて、それらの時間の平均にタイムロスぶんを加えた時間にします。
タイムロスを設定する場合注意することは、行動が失敗することも
ある程度考えなければならないことです。
そのために、分散より大きくして、予備の時間を必ず用意しなければなりません。
予備の時間を設定したら、次は固定イベントを決めます。
ここまでの現状から、最後のイベントと同様の方法で固定イベントを配置します。
ただし固定イベントに限り、PCの状態に関わらず
ボスまでの時間の半分で決定するなどの方法も取れます。
ここまでで、プレイヤーに時間を与えることが出来るようになりました。
この時間内に、プレイヤーは何回行動できるでしょうか?
その1回1回の行動をこれ以降「1ターン」と呼びます。
このターンに何が出来るかをこれからパーツとして決めていくわけです。
3型の場合、RP用の障害の内容といつ場面転換するかになります。
例えば、戦闘や判定などが障害となります。
この障害が出てくる理由はどうせセッションごとに変わるので決めなくて構いません。
例えば、例は以下のとおりになります。
- 遊園地が爆発する(20分程度)
- スタート地点から離れる(20分程度)
- 廊下を突っ切る(15分程度)
- 戦闘1回め(20分程度)
- さらに場所移動する(10分程度)
- 戦闘2回め(15分程度)
- エンディング(10分程度)
これで2時間コースです。このコースでうまくいくかは保証できかねますが
おおむねこのような流れになります。
ちなみに、具体的にどこに行くかはプレイヤーが決めます。
そしてプレイヤーに場所を決めてもらったら、持ち時間が少なくなるまで
障害を出しまくり、その後場所を移動し次の場面に行きます。
(戦闘は例外的に時間が少なくても終わったら次のシーンに行きます)
これら1場面を「1フェーズ」と呼びます。
4型の場合、具体的に選択肢や心理トラップをいつ出すかになります。
いつ、どのような形で選択肢や心理トラップを出すかを、
ストーリーの流れとして設定してしまうのです。
この心理トラップを出すためにその前のシーンで
これを話す、などの条件からストーリーの流れを決めます。
例として、こんな感じになります。
- 犯人は一般人のつもりでトランクにアイドル詰めて逃げるのだから、
まずトランクを持った一般人を登場させなければならない - トランクを持った一般人の登場するシーンを作ろう
- 自然に登場させるためにトランクぶつけさせよう
- それこそ人と同じサイズの人形とか出すといいんじゃないかな
…という風にして、ストーリーラインを決めていきます。
その結果、例えばこうなりました。
- PC、大きな探す時にトランク持った人とぶつかる。中身の人形飛び散る
- アイドルさらわれる
- 中身の人形が捨てられているのを見つける
- 同じ人が歩いているのが見つかる。トランクを持って…!?
- 気づいたPC、トランクを開けさせようとする
- その人抵抗する。戦闘開始
- 中身はアイドルに入れ替わっていた。事件解決。
これらの箇条書き一つ一つを「シーン」と呼んで分けます。
シーンごとに展開を決めていくのです。
5型の場合、具体的にダンジョンの部屋割や、
仕掛けを出すタイミングを決めていきます。
具体的にはこれらの3点を考えます。
- リドルを解いたり仕掛けを回避するために、PCはどうするべきか
- それを実際に行うのに、PCはどれだけの手がかりを入手出来ている必要があるか
- それを集めるために、どうすればいいのか
特に2は最重要で、あなたが「常識でわかるよね」とおもったことは
プレイヤーにはほとんどの場合、全く通用しません。
なので常識が通用しないことを前提に考える必要があります。
例えばこんな感じで考えます。
- スチーム罠を回避するためには、スチームを止めないといけない
- スチームを止めるには、スチーム室でバルブを回せばいい
- その手がかりは、スチーム罠を見た瞬間に説明する
このように、全てのプロセスに対して「解き方」と「それを気づく方法」を
しっかり設定しておきます。
できればひとつのプロセスに対して解き方が複数あるといいでしょう。
「気づいて解く」この流れ1つを「1クエスト」と呼びましょう。
今後は、クエスト単位で展開を決めていきます。
6型の場合、具体的に誘導用の障害の内容と場面転換のタイミングになります。
必ずPCを戦場に誘導しなければなりませんが、他はどうでもいいので
プレイヤーの好きにさせてしまって構わないと考えます。
3型同様遊園地を爆発させて、その後逃げるために正門行かせた後
正門を目の前で崩壊させ、電車に乗らないと逃げられない状況を作ったり、
アイドル追跡すると言うなら、犯人たちは電車で脱出しようとすればいいのです。
これらの方法によりプレイヤーは犯人と電車で居合わせます。
その後バトルを始めればいいのです。
ただし注意するべきことは、3型のシナリオと違い
戦闘にかなりの時間がかかる以上、RPに時間をかけていられないことです。
あまり判定などでシーンを引き伸ばさず、可能な限り早くシーンを終わらせ
電車の中に誘導してしまいましょう。
こうしてプレイヤーの策の潰し方、並びに最終目的地への誘導方法を可能な限り考えます。
それを今後1ケースと呼びます。
ただし実際にケースの中身は、ほとんど何もないのでこの時点でシナリオ完成と見ていいでしょう。
パーツに分けたら、後はそのパーツの具体的な中身を決めるだけです。
パーツの中身の決め方は、それぞれ呼び名別に説明していきたいと思います。
ぜひ、楽しみにしていてください!